相続・認知症の事前準備②民事信託

 平成18年に信託法が改正されたことにより、「民事信託(「家族信託」とも呼ばれます。本ページでは「民事信託」といいます。)」という新しい手法を使い、認知症の事前対策や相続の事前対策を行うことができるようになりました。しかしながら、実際に民事信託が使われるようになってきたのは、まだまだ最近のことであり、一般の方の認知度もあまり高くありません。

 そこで本ページでは「民事信託とは何か」「民事信託でどのようなことができるのか」ということの概要について説明させていただきます。

 民事信託の制度はとても難解ですので、少しでも分かりやすくご説明させていただくことを心がけて本ページを作成しました。一人でも多くの方が民事信託についてご認識いただき、理解を深めていただければ幸いです。


【本ページの目次】


民事信託とは

 民事信託とは、

元々財産を持っている人(この人を「委託者」といいます)が、

他者と民事信託の契約を交わすこと等により、その他者に財産を預け、管理(この財産を預り管理等する人を「受託者」といいます)してもらい

・管理した結果得た利益等を、別の第三者や元々財産を持っていた人(利益を受けることができる人を「受益者」といいます)に給付する(利益を受ける権利を「受益権」といいます。)

 という仕組みのことをいいます。少し分かりにくいかと思いますので、さらに図を使いイメージで説明させていただきます。


民事信託のイメージ事例

①土地を所有している長野太郎さん。自分で土地を管理することが少しずつ大変な年齢になってきました。

委託者の説明

 

②そこで長女の花子さんと民事信託の契約を交わし、花子さんに土地を預け、管理してもらうことにしました。

受託者の説明

③受託者の花子は契約に定めた内容に基づき土地を管理した結果、土地の賃料を得ることができました。その賃料については、契約で定めた太郎の長男である受益者の小太郎に給付しました。

受益者の説明

 このように、「委託者」が「受託者」に財産を預け、「受益者」にその財産の利益等を給付するという形が、民事信託の基本的な形になります。


 ところで、利益等を貰うことができる「受益者」は、もともとの財産の所有者である委託者なることもできます。本例ですと、長野太郎が(委託者兼)受益者になることができ、実務上でもこのような形で民事信託を行うことが多くあります。

委託者兼受益者の説明

 このような仕組みを上手く利用することにより、従来の法律では実現できなかった財産の管理方法(認知症の事前対策や相続の事前対策)を実現することが可能になりました。

 


民事信託でどのようなことができるのか ~事前の認知症対策~

 今、日本は世界に類を見ない超高齢化社会へと突入していますが、それに伴い「認知症」の患者数も増えてきており、75歳以上の方は7人に1人が認知症患っているという結果が出ています。(厚生労働省「平成28年高齢社会白書」)

 従来、認知症の方々を保護するため、成年後見制度が利用されてきましたが、今、民事信託」を使った認知症の事前対策について多くの注目が集まっています。

 そこで「成年後見制度」と「民事信託」の認知症対策について、下記ページに詳しい説明をさせていただいております。それぞれの制度の違いを踏まえ、皆様が納得できるの認知症対策を行っていただければ幸いです。

・「認知症対策 成年後見制度と民事信託について」はこちら


民事信託でどのようなことができるのか ~事前の相続対策~

 ご自身の財産を、死後どのように分配するか指定したい場合は、遺言を書いておくことが一般的です。

 しかしながら、民事信託を使うことにより、遺言では対応できない財産の分配方法についても柔軟に対応できると言われており、近年注目を集めています。

 そこで、本サイトでは、民事信託を使った相続対策について、具体例を交えながら説明をさせていただきます。それぞれの制度の違いを踏まえ、皆様が納得できる相続対策を行っていただければ幸いです。

・「相続対策としての民事信託について」の詳細はこちら